「Hammock Gallery」模型
SUEP.末光弘和+末光陽子建築作品展
2015.1.18─2015.2.27
田園城市藝文空間
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自然界は、様々な形の原理と有機的な合理性に満ちあふれている。建築を、植物と同じように地球上の自然の中につくられる生成物だとみなしたとき、私たちが普段建築をデザインする時に扱っている機能や構造、工法等の合理性は、実は自然界にある多種多様な合理性の一端でしかすぎない事がわかる。それらは、あくまでも人間がつくった人工的な世界の中での小さな合理性でしかすぎず、それを自然の中に定着しようと考えた時、この自然界に存在する有機的合理性を取り込む事が必要になる。環境の世紀と呼ばれるこの時代において、私たちが目指すべき建築はどのようなものであろうか。ここにヒントがあるように思っている。地球上の自然に目を向けると、私たちは、様々な循環系の中にいる事がわかる。それらは全て、太陽からもたらされた膨大なエネルギーが地球に到達する事で生じたムラによって、エネルギーが形を変えて移動し、私たちの身の回りで、光や風や水等の循環系として運動している。私たちがデザインしている建築は、この目に見えないエネルギーの運動体の中にいるのである。
自然界の創造物である生物をよく観察する必要がある。自然界の生物は環境に適応するため、進化の過程で、それらを取り巻く循環系の中で最適な形になっている。また、その場のエネルギー循環を最大限利用するための環境システムを内包している。そして、その場にある素材を使いながら、最小の要素で最大の効果を得られるような進化のプロセスをとる。樹木を見れば、それは光がつくり出す形である事がわかる。樹木は光合成するために、枝分かれし、最大限の表面積を確保しながら葉を茂らせる。砂漠にできる風紋を見れば、風がつくり出す形である事がわかる。砂の粒子と摩擦、風向きと強さなどによって美しい模様になっている。海の中の魚を見れば、水がつくり出す形であることがわかる。水流への抵抗を最小限にするように流線型になっている。
自然界では、こういった様々な合理性のバランスの中で形をつくっているのである。